奥沢幼稚園に寄せて

息子は奥沢教会幼稚園を元気に卒園いたしました。
遡ること3年、子どもも親も緊張して迎えた入園式の様子が思い出されます。
関西から転居してきたばかりで、息子にとっては奥沢幼稚園での日々が、東京での新生活そのものでもありました。
登園が始まってからしばらくは、泣いてすがる子を振り切るようにお預けして帰る日々でした。
ただありがたいことに、親として不安になったり、後ろ髪を引かれるような思いを感じたりすることはありませんでした。

牧師先生をはじめ、園の先生方はみな子どもと同じ目線に立って受け止めて下さったからです。
いつも同じ雰囲気で、いつも笑顔で、いつも一緒に驚いて、楽しんで。子どもたちと話す時はいつも前かがみになって、子どもたちの話には大きくうなずいて、温かく育てて下さいました。

奥沢幼稚園の素晴らしさは、子どもたちを待って下さること、信じて下さることだと思います。

先生方は、登園の時、お迎えの時、決して決めつけることなく、焦ることもなく、必要な範囲で、その時その時の子どもの様子を教えて下さいます。
最初のころは、もう少し色々なことが知りたい、先生はどう考えているのか知りたい、そんな気持ちになりました。
でも毎日の生活であれもこれも聞いていたらどうなっていたか。
きっと私たち親はわが子をあるがままに見ることができなくなっていたでしょう。
他の子と比べる目ばかりが育ってしまったかもしれません。

子ども達が自分でできるように、待ってあげましょう。そう語りかけられていたように思います。
きっと先生自身も不安なこと、手伝ってあげたいことだってあったと思います。
でもそこをぐっと我慢して、ニコニコなさっていました。

「待つ」ということ。「信じる」ということ。

その心が、私達親にも、子どもたち自身の中にも、じんわりとしみこんで、いつしか当たり前の感覚になって、3年が経った時には本当に仲良しのクラスになっていました。

自由遊びの時、こどもたちの輪に入って一緒に遊んで下さる先生、
困っている子、転んですりむいた子がいたら、ささっとかけよって、ちょこんとしゃがんで話を聞いてくださる先生、
先生方の愛情に包まれて、子どもたちは優しく、元気に育ってくれました。

子ども達の成長をまざまざと感じられたのが、運動会でした。
あり組の時、平均台の上を歩くだけでもやっとだった子たちが、もり組になって、組み体操で見せた真剣なまなざし、誇らしい表情、そしてリレーでの懸命の姿。感動をもらいました。

また御殿場キャンプも素晴らしい体験でした。
親元を離れて過ごす2泊3日の時間は、子どもたちの自立の芽を育ててくれるようです。
そして親が子どもから自立するきっかけも与えてくれたように感じます。

「子どもたちがしますから」
「子どもたちは何だってわかっているんですよ」
奥沢幼稚園に入園した後、何度も聞くことになる言葉です。
本当にそうです。子どもたちは何でもわかっています。

生まれてきてくれた子どもたちと一緒に育っていきたいお父さん、お母さんに、奥沢幼稚園をお勧めします。